初代から8年、ハードを世代交代してとうとう出た新作。
公式からリブートと明言されてはいましたが、ストーリー的には初代より過去の時間軸のようでした。
とは言え初代だと妹は普通の警察官、カタリストでは敵側企業の後継者となってるので、過去時間軸のパラレルって感じですね。
カタリスト単体で見ると、クリア後にドーゲンが持ってた絵を右腕にタトゥーしてたけど何？
流れとか不明な部分もありますが、腕のタトゥーは初代のフェイスのデザインに繋げる為の演出でしょう。

今作はオープンワールドに。独特で未来的な都市のデザインは初代から変わっておらず、ガラスの街は昼も夜も美麗。
フィールドが地続きになったので、走ろうと思えばいつまでも走っていられます。
とは言え、特別手の込んだ建造物やオブジェがあるわけでもなく、ほぼ似たような屋上の風景が続きます。
走ってる間の風景は気にならないけど、オープンワールドらしい楽しみ方が少ないと感じたのは事実。

走りのメカニズムは初代から大きく変えずに洗練され、大きな追加点としてはMAGロープ。
いわゆる場所限定のワイヤー移動ですが、こいつがあると身体一つで走ってるランナーの存在意義が……
もちろん設定上の話で、MAGロープがゲームデザインを崩すことはありません。自分で走って跳ぶのが基本で、遠すぎるビル間を繋ぐ即席の移動手段として活用。

戦闘は大分見直され、格闘のみ可能となった代わりに跳ねて滑っての攻撃方法が増えました。
また、初代よりは（アップグレードで）打たれ強くなったので4人相手にしても危なげなく勝てます。
とはいえランナーは走り続けるのが本質であるのに、たびたびある強制戦闘や、回避アクションがないせいでテンポが崩れる。
サイドステップや後退アクションがありますが、これは戦闘と移動に使えるもので戦闘専用のアクションではない。
敵を踏み台にして高所へ逃げるとか、走ってる途中に敵の肩に手を置いて方向転換して逃げ切るとか、そういう敵に対する回避アクションが欲しかった。
今回、走行関係の動作を行うとゲージが溜まり、これが銃撃に対するシールドになってくれるので、遠距離リンチがなくなったのは幸いです。

ゲーム内のコンテンツにはメインシナリオ以外のサイドミッションがありますが、ゲームデザイン上、AからB地点に走るだけです。
パルクールゲームを言語化するとこうも簡素になるか……まぁストーリーは特別魅力もないし移動を楽しもう。
他にタイムアタックや収集品関係があり、トロフィーを狙う上でネックになるのはこの辺り（時間より手間）。

地味に評価したいのが視野の拡大がオプションで出来ること。
PCとCSでゲームやってる人には分かりますが、CSはパフォーマンスの関係で視野は狭いです。しかしこのゲームでは視野を広げることが可能。
視野を広げることでテクスチャの貼り遅れがたまに起きますが、それでもプレイヤー側で視野調整できるのは嬉しいですね。

トロフィーのコンプを目指す上で鬼門だったのが、全タイムアタックの設定時間内のクリア。
タイム設定がシビアで、ゲーム中ナビのルートは役に立たないので、最速ルートの開拓が必要です。
で、最速ルートの開拓なんてしんどいことは普通の人はやらないので、ネットで調べる必要が出てきます。
そうした動画を参考にしてもコンマ秒の余裕もないのでタイムアタックは本当にしんどかったです……
おかげでマップの把握と技術は間違いなく向上しましたが、2周やるゲームじゃないしなぁ。
収集品は設置場所のヒントが少なく、幾つかは明らかに場所が分かっていないと、そこまでのルートの開拓すら思い浮かびません。
例えばゲーム内には近未来的オブジェなどが風景としてありますが、どれかが収集品へのルートに繋がるなどの視覚的な差が皆無。
良く出来たオープンワールドゲームだと、何気なく見て「うん？」と思わせる差の見せ方が出来てるので、ここは洗練が必要でした。

最後にシステム的な問題ですが、そこそこ死ぬゲームなのに対してロードが長い。
タイムアタック中に死ぬとスタート地点に戻るんじゃなくて死んだ地点で復活し、カウント続いてるとか何考えてやがる。
トロフィーの為に最速タイム目指して十数回以上走るのに、リスタート仕様がゲーム本編通りはあまりに配慮が足りません。
タイムアタックはリトライ前提だし、コースは通常マップから切り離してロード高速化するとか考えて欲しかったなぁ。

とはいえ長く待ったミラーズ・エッジシリーズの復活。
相変わらず走りは楽しく、良くないところは昔のままでした（頭に入らないストーリー、テンポを崩す戦闘）。
人を選ぶのは間違いありませんが、こうした移動が楽しいゲームは唯一無二で、その一番大事なところは変わってないことに安心しました。